展覧会案内没後90年記念 岸田劉生展

没後90年記念

岸田劉生展


《道路と土手と塀(切通之写生)》1915年11月5日
油彩・麻布 56.0×53.0cm
東京国立近代美術館蔵 重要文化財 
[東京展、山口展のみ出品]



東京ステーションギャラリー

東京都千代田区丸の内1-9-1
tel.03-3212-2485
2019年8月31日(土)〜2019年10月20日(日)
※月曜(9/16・23・10/14は除く)、9/17(火)・24(火)休館
10:00~18:00
※金曜は20:00まで
※いずれも入館は各閉館時間の30分前まで
入館料(当日):一般1,100円 高校・大学生900円 中学生以下無料
※前売り・団体割引あり

公式WEBサイト:http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

→ チケットプレゼント *受付は終了しました

日本の近代美術の歴史は、フランス近代美術を追随した歴史であったといえるが、ただ一人、初期から晩年に至るまで、自己の価値判断によって、自己の歩む道を選択し、自己の絵画を展開していった画家が、岸田劉生(1891-1929)だ。

岸田吟香(1833-1905)を父として東京・銀座に生まれた劉生は、父の死後、キリスト教会の牧師を志すが、独学で水彩画を制作するなかで画家になることを勧められ、黒田清輝の主宰する白馬会葵橋洋画研究所で本格的に油彩画を学ぶ。

そして、雑誌に紹介された後期印象派の画家たち(ゴッホ、ゴーギャン、マチスなど)を知り、「第二の誕生」と自ら呼ぶほどの衝撃を受けた。

1912年には、斎藤与里、高村光太郎、萬鐵五郎らとともに、ヒユウザン会を結成、強烈な色彩と筆致による油彩画を発表した。しかし、画家としての自己の道を探究するために、「近代的傾向…離れ」に踏み出し、徹底した細密描写による写実表現を突きつめた先に、ミケランジェロやデューラーなど西洋古典絵画を発見して、「クラシックの感化」を受けた独創的な画風を確立した。

1915年には、木村荘八、椿貞雄らとともに草土社を結成、若い画家たちに圧倒的な影響を与えた。最愛の娘・麗子の誕生とともに、自己のなかの 「内なる美」で満たされた究極の写実による油彩画に取り組んだ。その後、素描や水彩画の直截な表現のなかに「写実の欠除」の意義を見出すとともに、関東大震災により京都に移住した頃から、東洋美術(宋元院体画、浮世絵など)に特有の写実表現のなかに「卑近の美」を発見して、日本画にも真剣に取り組んだ。

しかし、鎌倉に転居して、再び油彩画に新たな道を探究しはじめた1929年、満洲旅行から帰国直後に体調を壊して、山口県の徳山において客死した。享年38歳だった。

本展では、岸田劉生の絵画の道において、道標となる作品を選び、基本的に制作年代順に展示する。その変転を繰り返した人生の歩みとともに、画家・岸田劉生の芸術を顕彰する。

※山口県立美術館(11/2〜12/22)、名古屋市美術館(2020/1/8〜3/1)に巡回。