本書「良寛の鼓動を聞きわける人」より>
(前略)彼の写真は、景色を撮っても遺墨を撮っても、良寛の心臓の脈拍が伝わってくるという思いがある。
こんな良寛の写真を撮る人を、彼よりほかに私は知らない。彼は、良寛の鼓動を聞きわけながら良寛の写真の
世界を創造しているといってもよい。(中略)
このたびの写真集の、たとえば出雲崎海岸にある良寛座像を見るがいい。これまでどんな人も、正面からか斜めからか良寛の顔を撮る。しかし遠藤氏は良寛の真後ろに回り、降る雪と防波堤と海の向こうの見えない佐渡を望み、鉛色の空を入れて撮る。
良寛の顔を見なくとも、こうすることによって良寛の思いがいっそうしみじみと伝わるのである。母おのぶを思い、没落した生家の橘屋山本家の一族を思い、現代の世情をも憂える良寛の心臓の高鳴りが、わがことのように聞こえてくるではないか。
(松本市壽 全国良寛会常任理事)
《目次》
まえがき
良寛さん、――――――― 吉増剛造
良寛の鼓動を聞きわける人 松本市壽
天
上
大
風
撮影地図&解説
あとがき
【著者略歴】
遠藤純 えんどうじゅん
1950年 東京都生まれ
1975年 東京造形大学卒業
1976年2月〜1998年2月 芸術新聞社在籍
1998年〜 フリーカメラマン 一般雑誌などで活動
パノラマカメラにより失われつつある都会の風景を記録し毎年個展開催 |