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| 歌麿は、女性像の配色や背景の色にもたいへん心を砕きました。歌撰恋之部シリーズでは、キラキラと反射して美しい雲母の粉に紅花からつくった紅の柔らかい赤味を加えた紅きらを使い、和紙の白さで女性の白い肌を浮き立たせています。「当時三美人」は寛政5年ごろ、この美人たちが一番評判だったころの作品です。難波屋おきた、高島おひさ、富本豊ひな、の三人をまるで仏画の三尊像のように描き、背景は雲母の粉だけの白きらで、非常に華やかな配色となっています。「娘日時計 午ノ刻」では版画という不自由な手段を使いながら、透けて見える着物の奥の下着、あるいは腕や素足、体から伝わってくる女性の色気などを表現しました。 |
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| 「当時三美人」(部分) 大判 寛政5(1793)年 Photograph ©2008 Museum of Fine Arts,Boston. All rights reserved. William S. and John T.Spaulding Collection,1921 21.6382 |
「娘日時計 午ノ刻」(部分) 大判 寛政6(1794)年頃 Photograph ©2008 Museum of Fine Arts,Boston. All rights reserved. William S. and John T.Spaulding Collection,1921 21.6547 |
| 歌麿はたいへん個性的で自意識の強い、俗な言葉でいえばうぬぼれの強い絵師でした。作品「白うちかけ」には、「わたしの絵はこの絵の吉原遊郭の最高の位の遊女に匹敵するくらい素晴らしく、安手な版画を作っているほかの絵師はまるで辻君のようだ」という同業のライバルをこき下ろすような文章をわざわざ書き込んでおり、かなり気位の高い絵師だったことがわかります。 何度も刷った後の彫りの悪くなった状態の版は、板に彫った線が鈍くなったり、あるいは刷り重ねていくと版が汚れるため、純度も落ち、色が濁ってきます。初版に近い刷りの作品は状態がよく、しかも後の退色が少ないので、歌麿の大胆な表現効果を読みとることができます。これまで、美術館や博物館の展示で浮世絵の魅力に接してこられた方でも、オリジナルはこれほど見事だったのだということを、このスポルディング・コレクションから実感していただけるだろうと思います。 『スポルティング・コレクション歌麿』解説書より転載 |