映画のウトピア

映画のウトピア

粉川哲夫・著

判型 : 四六判 上製
頁数 : 432頁
定価 : 2,530円
発刊 : 2013年12月10日

ISBN : 978-4-87586-375-5 C0074

映画にこもり、映画をこえる!

ときに「1日に3本」という苦行も厭わず映画へ没入し、批評活動を続けてきた著者。執拗なまでに映画を見続けることで、現実世界への認識を確かなものにしていく──。
所詮「虚」であるはずの映画によって「実」が覚醒していくという逆転。批評は、だれもが同じように見ているはずの現実世界を、歪んだかたちで突きつけてくる。
はたして、おかしいのは世界(映画)なのか、批評(著者)なのか?
いつしか読者の世界認識の矯正を強制してくる七十余編。映画批評の枠には収めようもない1冊となった。
宇川直宏氏、帯推薦。
【目次】
・映画亡命者の日記
・アメリカ映画の主流と支流
アメリカの身勝手
競争主義
歴史と騙り
ヴァーチャルなアメリカ
五〇年代のマイノリティ
ワスプとねずみ
〝楽園〞以後
ある家族形態の終わり
〝ヤッピー〞のいた時代
ニーチェと復讐
父親の〝復権〞
メインストリームの変貌
二〇〇〇年の転機
政治〝劇場〞の現在
劇場時代のモンスター
恐怖のパラノイア
孤独から〝内なる〞融和へ
クラッシュからタッチへ
ひきこもりの時代
メディアの孤島
露出のなかの自己防御
・シネマ・シガレッタ
タバコの検閲
ファイト・クラブ
紫煙のリアリティ
ニューカッスル
喫煙のサイン
ソー・ライフ
シガレット・コーディネーター
シガレット・ガール
手のなかの生と死
ジョージ・クルーニーの政治
〝自然な〞喫煙
・映画的記憶の再配置
東欧の諸記憶
〝素顔〞のウディ・アレン
「この街が好きだ。ロスはガキ向きでつまらない。」
「俺は最悪に輝いている」
リトル・オデッサ
演劇がラディカルであったころ
〝わかりやすい〞過激さの必要
クールなノリだぜ
アンダーグラウンド・ラディカルズ
〝造反無理〞の時代へ
映画の〝罠〞の悦び
〝魔女〞のカメラを死守する
ポスト・ヒューマン・ボディ
あなたのなかの異星人
〝ウソっぽさ〞のかぎりなき面白さ
ネットと生身のあいだで
トモロウ・ワールド
「マルチチュード」の顔
・孤独者のテレパシー
逃げることのいま
ベルリンのいま
壁の〝安楽死〞と癒し
脱属領化の終わりのあとは?
皮膚の境界線の先へ
時計時間の地平で
鉄道の規律と支配
モンドの不在は世界の不在
世紀末のアイロニー
ある「女」の物語
「イフ・ストーリー」の活用
帰郷のない時代へ
・一期一会
リドリー・スコット
スタンリー・キューブリック
スティーヴン・スピルバーグ
ロバート・アルトマン
スティーヴン・ソダーバーグ
ピーター・ウィアー
ドゥシャン・マカヴェイエフ
フレディ・M・ムーラー
ジャン=リュック・ゴダール
マドンナ
※読書ガイド[渡部幻・作]、索引つき
【プロフィール】
粉川哲夫(こがわ・てつお)
1941年東京生まれ。メディア批評家。上智大学、早稲田大学で現代哲学を学ぶ。80年代に小さなFM送信機を用いた「自由ラジオ」を提唱。84年ごろから電子メディアによるパフォーマンス活動を開始。和光大学、武蔵野美術大学、東京経済大学でユニークな教育実験も行なった。著書には、『メディアの牢獄』、『ニューヨーク街路劇場』、『ニューヨーク情報環境論』、『情報資本主義批判』、『電子人間の未来』、『カフカと情報化社会』、『国際化のゆらぎのなかで』、『シネマ・ポリティカ』、『もしインターネットが世界を変えるとしたら』など多数。映画批評は、『キネマ旬報』、自主サイト「シネマノート」(http://cinemanote.jp)に定期的に執筆中。

判型 : 四六判 上製
頁数 : 432頁
定価 : 2,530円
発刊 : 2013年12月10日

ISBN : 978-4-87586-375-5 C0074